株式会社ディーバ 代表取締役 永田玄 様

転職までの人生と、その後の人生にも寄り添う人

ソフトウエアや BPO で企業の連結決算などを支える株式会社ディーバ様。この東証プライム上場企業の事業会社を率いる代表取締役社長永田玄氏は、弊社代表取締役高石和弥、エグゼクティブパートナーの石元聖子とは旧知の仲。プライベートから始まった関係はビジネスの上でも、種々ご相談いただくまでに。そんな関係の中、永田様からジェムストーン及び石元はどう見えているのか?ディーバ様のビジョン・ミッション、近年の業界動向への取り組みや、採用でのお付き合いの経緯・成果、永田氏ご自身の転職、仕事観なども含めてお話を伺いました。

株式会社ディーバ

「世界に通用するソフトウエア会社」をビジョンに掲げているアバントグループの中核会社で、連結決算開示に専門特化したソフトウエアメーカー。2022年決算業務アウトソーシングの株式会社フィエルテと合併、BPOサービスと融合した連結決算開示領域の専業プロダクトメーカーとして新たなスタートを切った。

永田 玄(ながた げん)

株式会社ディーバ代表取締役社長。大学卒業後、富士アウトソーシング株式会社(現:ランスタッド)に入社。 最年少支店長、部長、本部長。8年目には事業統括本部長として全国の営業組織をマネジメントする。 2010年現アバントグループCEOの森川徹治氏との出会いから株式会社ディーバ入社。 株式会社フィエルテ代表取締役を経て、2022年より現職。株式会社アバントの取締役、アバントグループの執行役員グループCOO、CBOも兼務。趣味はゴルフ。

「なんか好き」の直感でいい。
決め手はその人のために時間を使いたいと思えるか

—— 学生時代からアルバイトも含めて「雇われる」経験がなかったと伺っているのですが、なぜ大学卒業後、起業ではなくサラリーマンを選んだのでしょうか?

永田氏:サラリーマンというものをやってみたかったんですよね。私の信条として「その時しかやれないことをやる」がありまして。新卒のサラリーマンは卒業時にしかなれないじゃないですか。

富士アウトソーシングを選んだのは、その頃、派遣法が制定されたばかりで、その行き先が気になったのと、最後の決め手は社長の人柄ですね。温かみがあるというか「なんか好き」と思って。直感です。

—— その後、転職されますが、その際にも起業は考えられなかったのですか?

永田氏:転職のきっかけはリーマンショックの時にリストラクチャリングをしたことによります。その当時、会社の中でのポジションがかなり高く、社員のリストラでもイニシアチブを取っていたので、自分の生き様として、辞めた人、残る人たち両方に義理立てをしようと1年留まることを決めました。

そんな中で、森川さん(現アバントグループCEO)と出会いました。森川さんのことも「なんか好き」と思ったんですよね。一緒に働くことでの自分の成長も見えましたが、何より「この人のために時間を使おう」と思えたので、これが最後と思いサラリーマンを続けることにしました。起業はいつでもできますし。

自分が入ればその会社は絶対に儲かるので、儲けさせたい人がいるかどうかが、私の会社を選ぶ基準なんです。

目標を決めたら達成するまでやる。だから失敗や挫折はない

—— 実績を出してらっしゃるので当然かもしれませんが、「自分が入れば儲かる」と言い切れるのはどうしてなのでしょう?

永田氏:儲かるまでやるからです。私にとって成功することは「ナチュラル」なことです。なぜなら目標を決めたらそこに到達するまでやり続けるから。途中で問題が起きてもプランや方法を変更するだけで、達成しないという選択肢はありません。

例えば、登山する際、頂上というゴールは決まっていますよね。しかし、途中で雨が降ったり、体調が崩れたり、不測の事態が起こることはあるわけです。その際、コースやスケジュールを変えることはあっても、目指すゴールは変わらないし、到達するまで何度でも変更すれば、絶対に辿り着きます。私の中で変更や繰り返しは失敗や挫折ではありませんし、そういった価値観はありません。

やり続けるためには、我慢していては続かないですよね。じゃあ、我慢しないためにはどうすればいいのか?と考えた時に、“価値観を変えるしかない”と、学生の頃に気づいたんです。

分かりやすく例えると、禁煙にしろ、ダイエットにしろ、タバコを吸っている生活、飽食な生活を良しとする価値観から、タバコを吸わない生活、摂生してヘルシーな生活の方が良いという価値観に変えることで、我慢して成すことではなくなり、むしろ成したくて成すことにするイメージです。

“生かされる”のではなく、自分で自分の人生を“生きる”

—— 学生の頃ですか。価値観もコントロールというか、意志を持って変えられるのはすごいですね。

永田氏:自分の人生ですからね。誰かに人生を生かされるのではなく、自分で生きたいと思って行動しています。自分だけでなく、一緒に仕事をする人にもそう思っていてほしいし、採用もそのような人を求めていますね。

ただ、「その時しかできないことをやる」のが信条だといいましたが、新卒のような年齢的なタイミングを除いて「その時」は人それぞれに違いますし、転職を伴う採用もその人の「その時」に合っていなければ、いくら有能な方でも無理に誘うことはしません。

もっとも、特にマネジメント層になるとファンクションで採用する必要はなく、自らポジションを作ってくれるので、タイミングを測れるんですが。その分、採用する人の人柄は重視しています。

—— そうやって採用すればミスマッチもないのでしょうか?

永田氏:どんな集合体もそこにいる全員にピッタリくることはあり得ません。合うか合わないかは本人次第なのだと思います。

合わないことを周囲のせいにするのは、先ほどいった「生かされている」思考で、ずるい発想なのかなと思います。誰にでも「自分で生きる」チャンスは平等にありますから。

ポジションにしても、今自分が社長の座にいるのは、それが会社にとってベストであるからです。他にベストな人がいれば、その人が社長になるべきで、誰にでもそのチャンスはあるんです。

“ビジネスであってビジネスでない” 信頼に値するかは行動でわかる

—— 石元さんが紹介した方で、うまくタイミングの合った方がいらっしゃるのですよね?

永田氏:はい、今、アバントグループの執行役員やアバントの取締役になってくれている方です。最初、石元さんが主催する会で会って。その後も何度か石元さん含めランチに行ったりしていました。

ただ、「採りたい」という邪念があったわけではなく、その人の人生の流れを確認しながら、お互いを知るためにコミュニケーションを重ねていたなかで、タイミングが合ったのでお誘いしました。その席にいた石元さんも同様の気持ちだったと思います。

—— 石元さん独自の「Head Farmer」な採用ですね。こういった手法はどう感じられました?

永田氏:石元さんとお会いする前に、高石さん(ジェムストーン代表取締役社長)にお会いしていて。お二人ともプライベートでまずはお会いしたのですが、会話の中でも誠実さと一貫性を感じ、その行動からも絶対の信頼を置ける人たちだなと思っていました。

そんな方々が「永田さん、好きかも」と引き合わせてくれる人なので、信用はしていました。

ジェムストーン(というか石元さん)がすごいのは、転職者のそれまでの人生と、その後の人生をも含めて考えていて、ビジネスだけれどビジネスに収まらないところ。我々企業サイドとも転職者サイドとも永久的なお付き合いをお考えになっておられるのだと思います。クライアント、転職者両方とのコミュニケーションがビジネスの枠を超えています。

—— 時に、天然とか抜けてるとか言われる石元さんですが。

永田氏:まぁ、クリティカルな抜けはないですし、私はそこも石元さんのチャームポイントだと思ってますよ。

根幹にあるのは「他者貢献」
自らの能力を活かし、他者の幸せをより実現できるか

—— 今後も採用活動はされると思うのですが、どういった方々を望まれていますか?

永田氏:アバントグループの基本理念は「100 年企業の創造」です。会社とは“公”であって、企業・顧客・従業員が等辺で結ばれる三角でないといけません。それを実践するためにも、共通して持っていて欲しい価値観が「他者貢献」です。

あくまでも自己犠牲ではなく自己肯定の上に、自らの能力を発揮して、他者に貢献する姿勢を持っていてほしいし、未来を見越して、そんな人をこれからも採用していきたいと思っています。

大切なのは何をやるかではなく「誰がやるか」。有能な人は何をやっても成功すると思うし、そんな人を探してきてくれるジェムストーンは信頼できるパートナーです。

—— 永田様の未来はどんなものでしょうか?

永田氏:未来というか、「その時にしかやれないことをやる」を大事にしているので、いつもテーマを持っていて、今は「永久保証」をテーマにおいています。顧客に対してどうサービスを永久保証できるか。このことについて常に考えていて、他のことは考えてないし、興味もないですね。

人に対しても、自分が「この人が好き」と思えれば、その人からどう思われているかに興味はありません。私の良さと価値はわかってくれる人だけにわかってもらえればいい。よく石元さんからも「誤解されていることが多い」と言われますが、石元さんや高石さんはわかってくれているので、それでいいと思っています。

聞き手/ライター:大倉奈津子